パニック障害を治す!認知行動療法は副作用がない?
パニック障害とはパニック発作といわれる、急性の強い不安の発作を繰り返す症状を特徴とする病気です。不安神経症の一部として扱われていましたが、1980年に独立したパニック障害と命名されました。
パニック障害は特別な原因やきっかけなしに急性に発症しパニック発作を繰り返すことや不安のため一人で外出したり乗り物にのったりすることが困難になることもあります。近年では副作用や依存性のない認知療法で治療を行うことが注目されています。
まずパニック障害を知り、認知療法ではどのような治療が可能なのか紹介していきます。
脳内の機能異常?パニック障害の原因を知る!
脳の中には脳内神経伝達物質が数種類あり、外界からの刺激に対応して様々な働きをしています。パニック障害がおこる原因はこれらの脳内機能異常が原因だという説が一般的に知られています。
ノルアドレナリン仮説
不安や恐怖に関係している神経伝達物質が「ノルアドレナリン」系です。このノルアドレナリン系の過敏・過活動が不安や恐怖を余計に感じてしまう原因となります。
セロトニン仮説
興奮を抑える神経伝達物質が「セロトニン」系です。このセロトニン系の機能異常によって興奮を抑えることが困難になってしまいます。
このようにノルアドレナリン系やセロトニン系のバランスが崩れてしまうためにおこるのがパニック障害だというのが有力な説です。
その他の要因
また実験的な研究ですがパニック障害の患者は乳酸、炭酸ガスカフェインなどに花瓶で発作が誘発されやすいこともわかっています。過労、睡眠不足、かぜなどの身体的な悪条件や日常生活でのストレスなど非特異的な要因も発症や発作のきっかけになることも知られています。
気のせいじゃない!パニック障害の3つの主な症状は?
パニック障害では、最初に「パニック発作」という症状が現れます。次に「予期不安」「広場恐怖」と3つの主な症状が出現し、悪循環となってしまうのが特徴です。パニック障害は悪化してしまうと人前に出るのが嫌で閉じこもり、正常な社会生活が維持できなくなることもあり、そうなる前の対策が必要です。
パニック発作
突然の動悸や呼吸困難・発汗・めまい・胸苦しさなどを伴う強い不安や死ぬかと思うほどの恐怖を伴うものです。
パニック発作自体は20~30分ほどでおさまることが多いのです。
予期不安
パニック発作を何度か繰り返すうちにまた発作を起こすことへの不安や強い恐怖感が生まれてしまいます。この心理状態のことを予期不安と呼びます。予期不安は毎日の生活の大きな妨げになってしまいます。
広場恐怖
また予期不安は逃げ場のないような場所でのパニック発作や、発作を他人に見られることへの恥ずかしさなどの不安や恐怖感を生みます、これが広場恐怖です。また人が集まる場所や過去に発作をおこした場所を避ける行動を回避行動と呼びます。
検査方法や診断基準は?まずは心療内科を受診!
多くの患者さんは心臓発作などを疑い救急車で病院へかけつけます。しかし病院についたころには症状はほとんど治まっており、検査などでも特別な異常は見られず多くの場合そのまま帰されるなどの話をよく聞きます。それではパニック障害の疑いがある場合はどの科を受診すればよいのでしょうか?
まずは病院で受診
パニック障害の疑いがあるときは、心療内科や精神科で受診しましょう。
そして身体疾患を場外するために内科的なさまざまな検査を行います。尿検査、血液、心電図、脳波などを行い心血管系疾患、呼吸器疾患、甲状腺機能亢進症、低血糖、薬物中毒てんかんなどが除外された場合パニック障害と診断されます
診断の基準
パニック障害の診断は問診が中心です。アメリカで考案された基準が使われることが多いので紹介します。このチェックリストの4つ以上にあてはまるとパニック障害の可能性があるとされています。
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<パニック障害のチェックリスト>
- 心臓がドキドキと、脈拍が増加する
- 手の平・全身に汗をかく
- 手足・体が震える
- 息切れ感や息苦しさ
- 窒息感、喉のつまった感じ
- 胸の痛みや圧迫感・不快感
- 吐き気・腹部の不快感
- めまい・ふらつき
- 自分が自分ではない感覚
- 自分をコントロールできなくなる不安感・恐怖感
- このままでは死んでしまうという恐怖感
- 体の一部にしびれ感・うずき感
- 冷え・温感
効果の高い治療法は?副作用のない治療もある!
パニック障害の治療には薬物療法と心理療法があります。
薬物療法
脳内神経伝達物質のノルアドレナリンとセロトニンのバランスを改善するための薬物が用いられた治療法で、即効性は認められているが、副作用も強く依存性・習慣性がみられることもあるリスクのある治療です。
心理療法
心理療法には「認知行動療法」や「自律訓練法」などがあります。薬のように即効性はありませんが、副作用や依存性のない心と体に優しい治療法です。
治療方法は自分で選べるのか?副作用のない認知療法を知る!
パニック障害の患者は自分で治療法を選べるのでしょうか?もちろん選べます。自分に合った治療法が薬物療法なのか「認知行動療法」などの心理療法なのか?併用が必要なのか?医師と相談して決めることができます。
認知行動療法のテクニック
認知行動療法では偏った認知行動習慣を少しずつ修正し、正しい認知行動習慣を身に着ける方法をとります。
例えば広場恐怖(外出恐怖)で電車に乗れなくなっている場合、無理やり電車に乗るのではなく最初は駅の改札付近まで行くことから始め、それが緊張なくできるようになったら改札を通過し、段階的に不安を克服していくやり方で、電車に乗ると不安や恐怖を感じ発作がおきるのでは?といった偏った認知を修正していきます。
副作用のない心と体に優しい治療法
認知療法では心と体をリラックスさせるためにパニック発作のおきるような状況下での物事の捉え方を修正するなど、根本的な意識の改革を目的としています。自分に起きている現象を客観的に判断できるような正常な「認知」へと変えていきます。
薬物のような副作用もなく行える認知行動療法はとても有効ですが、治療の効果が現れるのには薬物療法より時間がかかってしまうデメリットなどもあります。
また予期不安や広場恐怖の原因となる認知の偏りが改善されることによって、治療効果が持続しやすく、薬物療法との併用が必要ない場合もあるので、近年ではより注目された治療法です。
まとめ
パニック障害は心や性格に原因のある病気ではありません。よく誤解されてしまいがちですが、100人に2~3人に発症する可能性のあるとても身近な病気です。適切な理解をもってまわりの人間がサポートすることがとても重要です。
治療には数年の年月が必要なこともあるので、ご家族はもちろん周りの人間のサポートが不可欠です。ゆっくりとパニック障害を理解して、自分に合った適切な治療法で完治できるようにこの記事を参考にしてください。
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